抜擢と熟成、外部登用…武田薬品の人事戦略はグローバルのイロハ

 「良いリーダー、強いリーダーにならなければならない」。プログラム参加中、講師から励まされ続けたという社員は「業績を残せば報われてチャンスを与えられる会社だと実感できた。その一方で、未来が不確実な現代だからこそ、企業という枠を超えて社会に貢献できるようなリーダーシップを身に付けたいと思いました」と語る。

中途採用も丁寧に育てる

 「武田は抜擢(ばってき)というような形でチャンスを与えることも少なくない。その代表が私ですよ」

 こう言って破顔するのは、コスタ・サルウコスCFO(最高財務責任者)だ。米製薬大手のメルクなど製薬業界で20年以上勤め、アジアやヨーロッパでの財務経験を武器に27年に入社した。ヨーロッパとカナダの地域財務責任者を任された後、30年4月、前任のCFOが離任したことを受けてクリストフ・ウェバー社長から抜擢された。

 ヨーロッパとカナダで責任者になったさい、新薬の販売に力を入れて6カ月の間に、成長率を市場の6倍にした。「クリストフは単に財務の専門家ではなく、ビジネスパートナーを求めていたのだと思います。私のバックグラウンドを含めてよく見てくれていた」

 中途採用あり、抜擢あり。グローバル化、巨大化が進む武田ではもはや当たり前の光景だ。ただ、抜擢人事にも実は時間や手間がかかっている。

 「私たちは人材育成にとても力を入れています」とサルウコスCFOは胸を張る。

 武田では日本国内だけでなく、グローバルで将来のリーダーを育成するために、世界各国の拠点から優秀な人材を早くから選抜して育成するプログラムもいくつか用意する。そのひとつ「プレジデント・フォーラム」では、世界中から幹部候補者が集まり、ウェバー社長ら幹部と会社の戦略などについて議論する。育てた人材は未来の経営陣の候補となる。