正恩氏、ミサイル視察見送りか 米中韓の思惑が生んだ錯綜

 トランプ米大統領も事情は似ている。トランプ氏は、正恩氏が手術後に重体に陥ったとするCNNテレビの報道を「フェイクニュースだ」と批判したが、どの部分が誤報なのか一切触れず、会見ごとに正恩氏が「元気であることを願う」とエールを送っている。正恩氏との会談を外交成果として誇るトランプ氏にとって11月の大統領選まで北朝鮮の体制を揺るがす異変が起きては困り、静かにいてほしいのが本音だろう。

 ネットを通じた中国や香港発の正恩氏の健康不安説が拡散する中、沈黙を貫く習近平政権も北朝鮮の不安定化は避けたい事情は共通しているようだ。米中韓首脳の政治的な思惑による言動が、北朝鮮の現状を知る上で妨げとなっている。

 正恩氏が健在なら、北朝鮮にとっては周辺主要国が「重体説」にどう対処するかをつぶさに探る絶好の機会となる。ただ、動静不明が長期に及ぶと、北朝鮮国内でも不安が増幅する恐れがある。健康不安説は既に国内に逆流入しているとも伝えられる。内外の最大の関心事を隠し通すのは非現実的で、北朝鮮が公表のタイミングを見極めている可能性もある。

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