NTTドコモ、5期ぶりの減収減益 コロナ影響で基地局の建設計画に遅れ懸念も

ドコモが5Gのサービスを開始。5Gになっていることを示す端末の表示=3月25日午後、東京都品川区(松本健吾撮影)
ドコモが5Gのサービスを開始。5Gになっていることを示す端末の表示=3月25日午後、東京都品川区(松本健吾撮影)

 NTTドコモが28日に発表した令和2年3月期連結決算(国際会計基準)は、最終利益が前期比10・9%減の5915億円の5期ぶりの減益となった。端末の販売減少のほか、割安な通信料金プランの導入など、顧客還元の拡大で主力の通信事業が収益を押し下げた。新型コロナウイルスの影響で、来店数が減少しているほか、基地局の建設計画などに遅れが生じる可能性が出ており、3年3月期の連結業績予想は未定とした。

 「減収減益ではあるが、年間利益は、期初予想は上回った」

 吉沢和弘社長は厳しい業績をこう振り返った。売上高は3・9%減の4兆6512億円、営業利益は15・7%減の8546億円だった。

 令和元年10月に施行された改正電気通信事業法で通信料金と合わせた携帯端末の値引きが2万円までに制限され、消費者の買い替えなどが鈍った。端末の販売収入は前期比で約3割落ち込むなど、主力事業がさえなかった。

 さらに3年3月期は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で事業環境が悪化。外出自粛で、直近の来店者数は前年比で約3割に減少しているという。

 一方、データ通信は微増にとどまる。通話利用は増加傾向にあるが、定額契約者も増えており、収益への貢献は見通せないという。

 業績予想について吉沢氏は「2年3月期と同水準は目指したい」と述べるにとどめた。影響の長期化で設備部材の不足や基地局の建設工程に遅れが生じる可能性もあるという。

 3月から本格サービスが始まった第5世代(5G)移動通信システムについては、「3年3月までに全国500都市へのエリア拡大は優先度を上げる。ただ、6月までに基地局1万局を建設するという目標のはかなり難しい」(吉沢氏)という。5Gの利用者数は4月末で4万人超の見通し。

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