皇室ウイークリー

(638)陛下、首相から「内奏」お受けに 秋篠宮ご夫妻、感染症対策ご提案

即位後、初めて安倍晋三首相から「内奏」を受けられた際の天皇陛下=令和元年5月14日、皇居・宮殿「鳳凰の間」(宮内庁提供)
即位後、初めて安倍晋三首相から「内奏」を受けられた際の天皇陛下=令和元年5月14日、皇居・宮殿「鳳凰の間」(宮内庁提供)

新型コロナウイルスの感染拡大で全都道府県に緊急事態宣言が発令される中、天皇陛下と皇族方は今週、外出を控え、それぞれのお住まいで静かに過ごされた。

宮内庁は23日、天皇、皇后両陛下が28日に公益社団法人日本経済研究センター代表理事・理事長の岩田一政氏を赤坂御所に招き、進講を受けられると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大が経済に及ぼす影響などについて説明を受けられるという。感染拡大をめぐり、両陛下はこれまで、尾身茂・新型コロナウイルス感染症対策専門家会議副座長と、厚生労働省の鈴木康裕医務技監から進講を受けられている。

側近によると、両陛下は報道やテレビの特集番組などを通じて日々状況を確認し、感染拡大がさまざまな分野へ大きな影響を及ぼしていることを憂慮されているという。宮内庁は今後も、各分野の専門家による進講を調整している。

陛下は22日、皇居・宮殿「鳳凰の間」で、安倍晋三首相から、国内外の情勢について説明を聞く「内奏(ないそう)」を受けられた。内奏には陛下の側近である侍従らも同席せず、内容は原則、公表されない。陛下のお考えなどが明らかにされることで「天皇の政治利用」につながるのを避けるためで、昭和48年には田中角栄内閣の防衛庁(当時)の増原恵吉長官(同)が昭和天皇への内奏の内容を記者団に漏らし、辞任に追い込まれたこともある。

陛下は同日、宮殿で執務にも臨まれた。この日は人事院人事官の認証と、外国への赴任大使が持参する信任状の認証などのため、陛下は書類に署名・押印をされた。

陛下は通常、国事行為である国務大臣らの任命の認証に際し「認証官任命式」に臨み、首相から辞令を受け取った任官者にお言葉を述べられるのが通例。だが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今月から実施が見送られている。

新型コロナウイルスをめぐっては、秋篠宮ご夫妻も側近部局である皇嗣(こうし)職の職員らの健康を気遣い、感染防止対策を励行されている。職員は担当ごとに出勤する班を分けるなどしてテレワークを導入し、連絡は可能な限り対面を避けてメールなどで行うことを推進。ご夫妻は、職員らが勤務する赤坂御用地内の事務棟の空き部屋などを活用し、職員を分散して感染リスクを低減することなどを提案されたという。

また、ご夫妻は秋篠宮さまが総裁を務める済生会や、秋篠宮妃紀子さまが総裁を務める結核予防会の関係者を通じ、医療現場での対応や感染拡大の状況などについて、情報収集を続けられている。

ご夫妻の長男、悠仁さまが通われているお茶の水女子大付属中学校(東京都文京区)も感染拡大の影響で休校が続いている。側近によると、悠仁さまはお住まいでも学校の授業が始まる時間に合わせて課題や自習に取り組むなど、規則正しい生活を送られているという。

【皇室ウイークリー】は毎週金曜日、「産経ニュース」に掲載している企画です。ニュース紙面ではあまり触れられない各宮家のご活動や、上皇ご夫妻のご様子を含め、宮内庁担当記者が皇室の1週間を振り返ります。紙面で掲載できなかった写真もご紹介しています。さらに「皇室ウイークリー」だけのために撮影した写真も、アップしています。

また皇室のご動静は、産経新聞社が取材協力している扶桑社の季刊誌『皇室 Our Imperial Family』でも、詳しくご紹介しています。

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