コロナで激変 「原油」の地政学リスク 

産油国をめぐる攻防
産油国をめぐる攻防

 『原油価格暴落』。新型コロナウイルス関連の経済ニュースで3月、こんな見出しが躍った。

 一見、ガソリンの値下がりにもつながり、歓迎すべきニュースとも読める。だが、石油を海外に頼る日本にとり、世界の3大産油国が繰り広げる攻防はコロナで景気後退局面に追い込まれた日本経済のさらなる重しとなりかねない。

減産に合意

 「エネルギー産業の回復に協力してくれた皆に感謝する。特にロシアとサウジアラビアへ」。トランプ米大統領は4月13日、ツイッターで自らの外交成果を続けてアピールした。

 これに先立つ9日、サウジ中心の石油輸出国機構(OPEC)とロシア筆頭の非加盟産油国の連合体「OPECプラス」は、協調減産で大筋合意。10日には、米国を含む20カ国・地域(G20)のエネルギー担当相が原油市場の安定で一致したが、具体的な削減目標は打ち出さなかった。

 シェールオイルの登場で今や世界最大の産油国となった米国は明確な削減目標を掲げず、2位のサウジと3位のロシアに、原油価格下支えへ減産を約束させることに成功した。

 新型コロナによる燃料需要の急減を受け、3月下旬のニューヨーク原油先物相場は一時、1バレル=19ドル台と約18年ぶりの安値に落ち込んだ。年初の63ドルに比べ3分の1以下だ。4月20日のニューヨーク原油先物相場は暴落し、指標の米国産標準油種(WTI)の5月渡しが前週末比55.90ドル安の1バレル=マイナス37.63ドルと、1983年のWTI原油先物の上場以来、初めてマイナスで取引を終えた。

蜜月の崩壊

 原油価格を安定させ、1日でも、1年でも「石油の時代」を継続させたいサウジは2017年、OPECプラスを形成し、ロシアと協調減産で足並みをそろえてきた。以来、ロシアのシリア侵攻に理解を示すなど「蜜月関係」にあった。だが、今年3月、ロシアがOPECからの追加協調減産の要請を蹴り、関係は3年で瓦解(がかい)した。