また、人事担当者が全員に状況を確認する電話をかけている。広報担当者は「担当者1人が10人に対し10分程度、電話をしている。人数が多く、初めてのことなので、模索して進めている」と話す。
農機大手のクボタでは、在宅勤務の人事担当者が自宅からネットを通じ、同じく在宅勤務となった新入社員184人に毎日、朝礼と夕礼のあいさつを実施している。新入社員向けの社内SNSも開設しており、広報担当者は「自由に意見交換し、同期の絆を強めてもらいたい」という。
自宅待機での研修を5月6日までとした、りそなホールディングスは、グループの2行で採用した567人に対し、週1~2回、育成担当者から電話をかけ「教材に、分かりにくいところがないか」など聞き取りを行っている。
大阪ガスの広報担当者も「電話やメールのやりとりで、新入社員の不安や悩みを早期にキャッチするよう努めている」という。
「新入社員のケアを」
新入社員とのコミュニケーションは、今後の離職率にもかかわってくる。
公益社団法人「全国求人情報協会」がまとめた、昨年度入社の社員の入社時から半年後までの意識調査(480人が回答)。指導者に担当業務以外のことも含めて相談できている人は、半年後に就業意向が継続した人では56・8%いたが、転職意向に転じた人の中では22・0%にとどまった。
リクルートキャリアの研究機関「就職みらい研究所」の増本全(ますもと・ぜん)所長は、新入社員について「もともと積極的に自分から相談することは少ない」と指摘。その上で会社側には「今回は実務になかなか入れない不安が大きい。自分でためこんでしまうところをケアしてもらいたい。また、指示は中途半端にせず、先の予定も含めて提示していくことが重要だ」としている。