ヨモギ…身近な薬草をおいしく 定番の草餅、ムースも

ヨモギ…身近な薬草をおいしく 定番の草餅、ムースも
ヨモギ…身近な薬草をおいしく 定番の草餅、ムースも
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 春になると、山や野原、都会の道端でも目にする「ヨモギ」。日本では古くから多様な効能を持つ薬草として親しまれてきた。食用となる葉は、草餅に使われるのが最もポピュラー。ヨモギの葉から作られる「モグサ」に着想を得た鍼灸(しんきゅう)師が菓子職人と組み、「食べるお灸」と名付けたスイーツを開発するなど、楽しみ方も広がっている。体調を整えてくれるヨモギの力を借りて、感染症に負けない体づくりをしてみては?(篠原那美)

 キク科の多年草であるヨモギは、日本各地の山野に分布する野草だ。

 漢方に使われる薬用植物としても知られ、熊本大薬学部薬草園の植物データベースによると、生の葉の汁は、切り傷の出血や虫刺されなどに塗る。全草(葉や茎、根など)を煎じて飲むと、腹痛、貧血、下痢、便秘などに有効だとされる。風呂に入れれば、冷えや腰痛などへの効能があり、葉の裏の毛はお灸に使うモグサの原料となる。

 ヨモギを使った料理といえば、草餅がまず頭に浮かぶ。東京都墨田区の和菓子店「向じま 志満ん(じまん)草餅」を訪ねた。

 明治2年の創業で、隅田川を往来する渡し船の乗客に草餅を提供する茶店として始まったという。

 「創業当時は、隅田川の土手で手摘みしたヨモギを使っていたが、今は新潟や青森などから取り寄せている」と店主の鈴木健志さん(56)。

 硬さなど葉の特徴を丁寧に見ながら、煮る時間を調整し「ヨモギの色と香り、味の調和がとれるように工夫している」と話す。

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