産経新聞の16日付朝刊は、政府が安定的な皇位継承策の検討に向けての有識者への聴取で、戦後に連合国軍総司令部(GHQ)の意向で皇籍離脱した旧宮家の復帰に関しても見解を尋ねていると報じている。また、政府が過去に皇位継承について、どのような議論をしてきたかを検証する企画記事「皇位継承論議を振り返る」も始まった。
企画記事の中では、平成8~10年に政権を担った橋本龍太郎内閣時代に、古川貞二郎官房副長官を中心に非公式な研究会が開かれていたことが記されている。このときの検討が17年、小泉純一郎内閣時の古川氏も委員を務めた有識者会議がまとめた女性・女系天皇を容認する報告書につながっていった。
筆者は当時、この件を取材していたので、いくつか補足を試みたい。
皇籍復帰「議論しなかった」
古川氏は今回、産経新聞のインタビューに有識者会議が、皇室の男系(父系)継承という大伝統を守るための旧宮家の皇籍復帰を排除した理由について、こう説明している。
「旧宮家は今の天皇家との縁が600年以上前にさかのぼり、戦後に皇籍から離れて長期間経過しており、国民が納得するのかという懸念があった」
だが、古川氏らの研究会に参加した大学教授の一人も18年に、筆者の取材にこう答えていた。