ロックダウンできない日本 諸外国で目立つ強制力

 フランスは3月24日、衛生緊急事態法を施行。首相に人の往来制限や国家の物資管理の権限を与えた。外出禁止令に30日以内で4度違反すれば、最大3750ユーロ(約45万円)の罰金や禁錮刑を科す。イタリアや英国も違反者に罰則を科す。いずれの国も何らかの緊急事態条項を有している。

私権制限、是非は

 日本も戦前の大日本帝国憲法には国家緊急権の規定があったが、現行憲法には存在しない。戦争の反省から国家の暴走を防ぐ意識が働いたとされる。このため日本では戦後、大災害など有事の際は個別の法律を新設、改正して対応してきた経緯がある。

 ただ、今回のような未曽有の事態はいつどこで起きるか分からない。日本も国民の私権を制限してまで外国のようなロックダウンを行うようにすべきなのか。

 岩田氏は「立憲主義の観点から私権制限には慎重な判断が必要」とした上で、「憲法を守るより、国民を守る政治的判断がより重要となる局面はあり得る。これを機に、憲法に例外的な緊急事態条項を設ける議論をすべきだ」と訴える。

 一方、「憲法を変えずとも強い措置は可能」との考えを示すのは東京都立大の木村草太(そうた)(きむら・そうた)教授(憲法)。科学的根拠があって基本的人権に配慮した感染症対策は、現行憲法は禁じていないとし、木村氏は「憲法上の個人の権利と統治機構のルールを守った上で法整備し、行動規制すればいい。改憲論議と結びつけるのは違う」と論じた。

データも裏付け

 一方、位置情報をもとに米グーグルが公開する世界の人の移動に関する最新データ(11日時点)では、ロックダウンの有無の影響が如実に現れている。

 日本では2月下旬比で「外食・娯楽施設」がマイナス30%、「公共交通機関」はマイナス48%と、それぞれ訪問率が減り、緊急事態宣言の一定の効果がみられる。

 ただ強制的な措置に踏み切った欧米各国は、さらに大きな減少率を記録した。

 データは「COVID-19コミュニティモビリティレポート」。約130カ国を対象に、外食・娯楽施設▽食料品店・ドラッグストア▽公園▽公共交通機関▽職場▽住宅-の6つの分野での訪問率を公開。2月29日を起点とし、4月11日までの推移を示した。

 これによると外食・娯楽施設では、強制力の伴う外出禁止措置が出されたフランスとイタリアがともにマイナス86%の大幅減。在宅勤務に移行する企業の増加で、職場は日本が22%減、米国が38%減、フランスが55%減だった。

 差が顕著だったのは公園。日本は息抜きを求める人の増加を反映して3%増だったが、フランスでは74%減、イタリアでは83%減となった。

 同レポートはグーグルのアプリで位置情報の提供を有効にしている利用者のデータをもとに作成。日本は全国の傾向のほか、都道府県別の状況も含まれている。