新型コロナウイルス感染症の対応をめぐり、主要野党は17日の衆院厚生労働委員会で安倍晋三首相への批判を強めた。国民1人当たり現金10万円の一律給付や緊急事態宣言の対象地域拡大を決めた経緯などを相次ぎ追及し、首相は防戦に追われた。内閣支持率の低下も追い風に強気の野党だが、対策の足を引っ張っていると映れば国民の批判を招く恐れもあり、攻めあぐねる様子も目立った。
「専門家の皆さんがそれぞれの見地から判断された。全く根拠のないことをいうのはやめてほしい」
首相は、政府が一律10万円給付に方針転換する理由にするため宣言を全国に拡大したのではないかとただした野党統一会派の山井和則氏に強く反論した。
山井氏は野党が要求していた10万円給付を政府が決めたことを「結論としては良かった」としつつ、首相が以前、一律給付には約3カ月かかるため減収世帯に絞って30万円の給付を行うと説明していたとして「虚偽説明か」と批判。首相は「さまざまな仕組みを作っていく中で分かったこともあり、できるだけ(10万円給付の時間を)短縮したい」と釈明を余儀なくされた。
国民民主党の岡本充功(みつのり)氏は、企業が従業員を休ませた際に政府が支給する「雇用調整助成金」などの支給が数件にとどまっている現状を問題視。首相は「多くの方に使ってもらえるよう対応させていきたい」と述べた。
野党は現金給付をめぐる政権の迷走を受け、攻勢に出ている。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が11、12両日に実施した合同世論調査では、安倍内閣の支持率は39・0%に下落し、不支持率(44・3%)が上回った。緊急事態宣言の発令が遅いとみなされているほか、全世帯への布製マスクの配布や、首相が自宅でくつろぐ動画をツイッターに投稿したことなど、政権の一連の対応には国民の不満が強いとみている。
立憲民主党幹部は旧民主党政権時代を念頭に「自分たちは(東日本大震災という)千年に一度の災害に対応したが、安倍政権は全然対応できていない。何をやりたいか伝わらないし、混乱している」と批判する。