大雨で土砂災害の危険性が高まり、南房総、鴨川両市では13日、市内の一部に避難勧告が発令され、避難所が一時、開設された。県南部の両市は昨年秋の台風の被災地。今回の事態に南房総市は、新型コロナウイルスの収束が見えない中での台風などの災害に備え、避難対応マニュアルの月内の作成を急遽(きゅうきょ)決めた。
南房総市では土砂災害警戒区域518世帯1298人が避難勧告の対象となり、市が崖から離れた部屋や2階の部屋の他、富浦、富山、三芳、白浜、千倉、丸山、和田の各地区に開設した避難所への避難を呼び掛けた。防災無線を通じ、避難所利用には各自マスクの用意をお願いした。
感染予防のため、避難する市民を密集や密接から守るには、避難所を多く用意することが必要になる。しかし、消防防災課によると、これ以上の避難所の用意は難しい。一方で例年早ければ6月にも台風が発生する。そのため、新型コロナの中での災害時の市民の避難対応のマニュアルを早めに作ることを決めた。
鴨川市は江見、曽呂、大山地区の土砂災害警戒区域34世帯80人に避難勧告を発令。各地区に一時、避難所を開設した。感染拡大中の避難勧告は「想定外の事態」(市災害対策本部)。市民が避難してきた場合に備え、避難所への消毒液の設置やマスクを用意したほか、保健師による検温と問診など可能な限りの準備をした。
両市とも今回は避難所の利用者はいなかった。人が密集しがちな避難所では感染リスクが高まる。親戚や知人宅への避難など、災害時の準備も考えておく必要がありそうだ。