ゆうゆうLife

家族がいてもいなくても(635)オフにて思う、オンライン

 東京の孫娘からスマートフォンにメッセージが入った。

 「Zoomをインストールしたら、みんなと話ができるよ」と。

「Zoom」って何? とネットで調べたら、100人まで登録可能な無料のオンライン会議システムのこと。

 エッ! 私にこれをやれってわけ? とさすがに緊張した。

 この会議システムは新型コロナウイルスの感染拡大で利用者がこの1カ月で急増し、なんと2億人にも達しちゃったのだとか。

 確かにこれを使えば、会議も打ち合わせも在宅のままできる。

 東京の取材チーム仲間とも交通費などの経費が一切なしで、一緒に話し合いができる。

 う~む、役に立ちそう、と意を決しインストールすることにした。

 パソコンの前で、スマホ片手に在宅ワーク中のお嫁さんに、「登録パスワードって、勝手に作っていいの?」などとズレまくりの質問をしながら操作を試みた。

 すると、あっけないほど簡単にパソコン画面にニコニコ顔の家族が現れた。

 むろん9歳と7歳の孫娘もしきりと手を振っている。

 彼ら家族は、仕事関係ばかりではなく、これを使って親しい人たちと「オンライン飲み会」とやらを開いたりもしているらしい。

 そういえば、わがシニア住宅の入居者の中にも、タブレットをキッチンに置き、料理をしながら、遠くに住む娘さんとお喋(しゃべ)りをしている人もいる。

 彼女の部屋に行ったとき、画面越しに娘さんを紹介され、「お母さんの向かいに住んでま~す」などと手を振って挨(あい)拶(さつ)したりもした。

 その時も思った。

 こんなふうに、過疎地に住む老親と都会に住む家族がオンラインでつながり、お互いの様子を日々確認し合う、そんな時代が来ているのね、と。

 そうこうするうちに、何度か通った東京のパソコン講座の主催者から、「オンラインツールZoomの在宅体験会を急(きゅう)遽(きょ)開催します」とのメールが届いた。

 外出自粛の折、講座のオンライン化のために声を掛けてくれたらしい。

 ところが、その夜にテレビニュースでこのシステムのセキュリティーにいささかの問題ありとの報道が…。

 誰にとっても簡単で便利すぎるものには、隙があるってことかしら。かといって、こちらに難しすぎるものになったら、手が出せなくなるし。

 何事もままならない時代だ。(ノンフィクション作家 久田恵)