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生活保護受給者におびえ…遺体運んだケースワーカーの恐怖と孤立

遺体が入れられていたとみられる冷蔵庫を運び出す京都府警の捜査員=令和元年6月12日午後、京都府向日市
遺体が入れられていたとみられる冷蔵庫を運び出す京都府警の捜査員=令和元年6月12日午後、京都府向日市

 ケースワーカーが支援すべき生活保護の受給者から脅され、受給者が死亡させた女性の遺体を遺棄した事件の判決が3月、京都地裁であった。死体遺棄罪で有罪判決を言い渡されたのは、京都府向日市の男性職員(30)。法廷では、担当していた受給者に日常的に脅され、従属関係に陥った恐怖の日々が明らかになった。

できあがる主従関係

 平成27年からケースワーカーとして勤務していた職員は30年1月から受給者の男(56)=傷害致死罪などで起訴済み=を担当。被告人質問などによると、男は同年11月ごろから毎日、職員あての電話を市役所にかけ、「買い物の荷物を公用車で送り届けろ」などの不当要求を繰り返していた。電話は毎回数時間におよび、職員は電話が鳴るだけで動悸(どうき)が激しくなり、不眠が3日間続くほどの状態になった。異動も希望したが、かなわなかった。

 職員が恐れたのは男の過去だ。女性を死なせた傷害致死罪の前科が2件あり、暴力団との関わりもほのめかす男に恐怖を覚え、現金100万円を脅し取られたことも。こうして次第に主従関係ができあがった。

 不適切な関係性に拍車をかけたのが、市の不十分な対応だ。男からかかってきた電話に上司が代わって出ることもあったが、注意ではなく「(職員の)対応が至らずすみません」と謝罪。最終的には、「職員には俺から指導する」と男に言われ、職員に電話を戻すことが常態化し、職員は失望していったという。

犯行の発覚

 令和元年6月1日、男に呼び出された職員は男の自宅アパートの一室に赴いた。そこで倒れていたのは、男と同居していた交際相手の女性=当時(43)。男から暴力を受け、亡くなっていた。

 「協力しなかったら口封じのためにお前を殺す」。遺体を前に、男は職員を脅迫。職員は「言うことを聞かなければ恐ろしい目に遭う」と考え、男とともに遺体をシートにくるんで大型冷凍庫に入れた。