安倍晋三首相は7日夕、首相官邸で記者会見し、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発出するに当たって決意などについて述べた。記者会見の全文は次の通り。
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「まず冒頭、全国各地の医師、看護師、看護助手、病院スタッフの皆さん、そして感染対策に携わる保健所や専門家、臨床検査技師の皆さんに日本国民を代表して、心より感謝申し上げます。新型コロナウイルスとの戦いのまさに最前線で強い責任感を持って、今この瞬間も1人でも多くの命を救うため、献身的な努力をしてくださっていることに、心からの敬意を表したいと思います」
「世界全体ですでに6万人以上が死亡した。この過酷なウイルスとの戦いにおいて、確かな技術と高い使命感を持った医療従事者の皆さんの存在は、私たち全員を勇気づけてくれるものです。本当にありがとうございます。感染リスクと背中合わせの厳しい状況をも恐れず、ベストを尽くしてくださっている皆さんを支えるため、できることは全てやっていきたい。医療現場を守るため、あらゆる手を尽くします」
「感染予防に欠かせない医療物資について、国内での増産を進めています。電機メーカーなど異業種の力も借りながら、さらに提供体制を強化していきます。軽症者や症状のない感染者の皆さんは、医療機関ではなく、宿泊施設などで療養いただくことで、医療機関の負担を軽減します。ホテルチェーンにご協力をいただき、関東で1万室、関西で3000室を確保しました。日本財団も臨時の施設建設を進めてくださっています。これらを活用させていただき、医療支援を重症者対応に振り向けることで病院の機能維持を図ります。ただこうした努力を重ねても、東京や大阪など都市部を中心に感染者が急増しており、病床数は明らかに限界に近づいています。医療従事者の皆さんの肉体的、精神的な負担も大きくなっており、医療現場はまさに危機的な状況です」
「現状ではまだ全国的かつ急速な蔓延には至っていないとしても、医療提供体制が逼迫している地域が生じていることを踏まえれば、もはや時間の猶予はないとの結論に至りました。この状況は国民生活および国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあると判断いたしました」