古典個展

コロナ対策に財源私案 大阪大名誉教授・加地伸行

沖縄県・尖閣諸島。手前から南小島、北小島、魚釣島
沖縄県・尖閣諸島。手前から南小島、北小島、魚釣島

世界で流行の新型コロナウイルスに対して、日本では、感染者・死者は他の国に比べて少ないものの、その数が急増しており、緊迫度を増している。

安倍晋三内閣は「緊急事態宣言」を可能とする特措法改正案を成立させ、その発令の是非が焦点となっている。しかし、緊急事態は流行病ばかりではない。この世界的流行病の最中に火事場泥棒のごとく中国公船が、尖閣諸島付近を周回し続けている。彼らが日本国内に上陸してくる可能性なしとしない。また、北朝鮮は日本海に向けてミサイルを発射し続けている。こうした有事が起きた場合、政府はどのようにして対応するのか。いや、どのような法的立場に立つことができるのか。

普通ならば、自衛隊の最高指揮官である首相は、戒厳令を発するべきであろう。すなわち平時の法を停止し、それを超えて行政権と司法権の一部を首相が掌握できる措置である。例えば、関東大震災(大正12年)のとき、東京府(当時)・付近3県に対して、国内治安のための行政戒厳を発令している。

この戒厳令は、明治15年に太政官布告36号として布告されていたが、日本国憲法発布後は排除されてしまっている。それは勝者のアメリカ側の、かつての敵対的意思であっただろう。

しかし、今や日本は独立国である。だが、周辺にはわが国を脅かす国がいくつもある。また今回のような大流行病や大自然災害の可能性もある以上、今や戒厳令の立法をなすことが、現政権の取るべき義務であろう。

この政治的問題に並んで、いま流行の病気は経済を直撃している。要するに、政府はいろいろな意味、場面等(とう)に対してこれから膨大な支援予算を組まなければならない。その準備は大丈夫なのか。苦しいと思う。

ならば、以前から老生が提案している〈日の丸国債〉を今回発行すれば、十分な財源を準備できる。日の丸国債とはこうだ。日銀発行の一万円札に国旗・日の丸を刷る。それだけでいい。もちろん番号は登載。日の丸国債は無利子にするが、通貨として使える上、その相続税は免除する。相続税対策に悩むお金持ちにとっては「無税」は朗報になろう。

多くは資産として貯蓄されるだろうから市場には流通せず、インフレにもならない。いわば、非常時に国民の協力を求めるものだが、国民側にも損はない。いずれ相続税として支払うべき税金分を、「今ある危機」に使うお金として、前倒しで「国債(財産)」として買うだけだからだ。政府も、その販売手数料を銀行や証券会社に支払う以外、一切費用は不要。

この日の丸国債の発行で、年20兆円くらいが政府に入るだろうと、老生は考える。差し当たり来るべきコロナ不況を日の丸国債で叩(たた)きのめすべきではないか。もちろん老生、専門家ではない。ただ、非常時には政治も経済もこれぐらい思い切った対策が必要ではないのか。

子曰(いわ)く、…必ずや事(こと)に臨んで懼(おそ)れ(慎重に)、謀(はかりごと)を好んで而(しか)して成(な)す者たれ、と(『論語』述而)。(かじ のぶゆき)