西日本豪雨で廃業の酒蔵を再生 緒方洪庵がつないだ縁

 はじまりは、30年に災害復旧のボランティアで同地区を訪れた佐藤教授が緒方さんと知り合い、大阪大の源流である適塾を主宰した緒方洪庵と縁があることを知って、酒造の再興を支援したいと申し出たのがきっかけ。緒方さんの廃業の意志は固かったが、代わりに「これまで酒造りを続けてこられたことに感謝して、この町の人のためになる活動に、酒蔵を役立ててほしい」という提案があったという。

落語会も開催へ

 大阪大と愛媛大、のむら自治振は5月から緒方らぼで文化講座や落語会、コンサートなどの連続講座をスタートさせる。5月30日に予定している1回目の講座では、大阪大がこれまで取り組んできた阪神大震災や東日本大震災などの災害復興とまちづくりの取り組みを紹介するほか、今後の野村地区の地域振興などを話し合う。豪雨災害から2年の節目となる7月には創作落語「緒方洪庵」を披露する落語会を開催する。

 大阪大は先月、愛媛大とのむら自治振との間で共生社会を目指すための連携協定を締結した。緒方らぼでの事業を円滑に進める目的のほか、ゆくゆくは両大学で連携教育プログラムを作りたい考えだ。川端亮(あきら)・大阪大人間科学研究科長は「地域のみなさんが一体化するようなネットワークができれば」と期待。また、愛媛大社会共創学部の松村暢彦(のぶひこ)教授は「大阪大の知識や経験も生かしながら地域貢献していきたい」と話している。

 江戸時代に創業した緒方酒造の当主、緒方家と、大阪大学の前身「適塾」の創設者である緒方洪庵(1810~63年)のルーツは同じとされる。緒方酒造ではかつて「緒方洪庵」と名付けた日本酒も販売していた。

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