自転車保険義務化条例が施行 加入率アップへ周知カギ 東京

 ■新型コロナ影響、啓発イベントできず

 自転車による交通事故が多発する中、自転車を利用する人やその保護者に自転車損害賠償保険の加入を義務付ける改正条例が今月から施行された。自転車事故をめぐっては近年、大きな被害や高額の損害賠償が生じるケースもあり、全国で保険加入義務化の動きが進む。加入率アップに向けては都民への周知がカギを握るが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で啓発イベントを実施しにくい状況になっており、都は対応に苦慮している。(吉沢智美)

 自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例を改正。これまで努力義務だった保険への加入を自転車利用者本人やその保護者に対して義務化する。ただ、義務違反に対する罰則などは盛り込まれていない。自転車小売業者に対しては努力義務として、自転車購入者への保険加入の有無などの確認や保険に関する情報提供の実施を求めている。

 警視庁の統計(今年1月10日現在)によると、令和元年に都内で発生した事故3万467件のうち自転車関連事故は1万1874件(前年比103件増)。交通事故全体に占める割合は39%となり、平成28年から3年連続で増加している。自転車関連事故のうち、道路形状別では交差点で発生した事故は6096件で51・3%を占め、事故類型別では出合い頭の事故が39・7%と圧倒的に多い。

 自転車事故をめぐっては、20年に歩行者の女性を自転車ではねて重篤な状態にさせた当時小学5年の男子児童の母親に対し、神戸地裁が25年、監督義務を果たしていないとして約9500万円の支払いを命じるなど、高額賠償を求める事例が続出している。

 都の30年度の調査によると、保険の加入率は53・5%だった。都の担当者は課題として、既に自転車を購入しているものの未加入の人を挙げる。保険加入を促すイベントは新型コロナウイルスの影響で開きにくい状態になっているため、都は6日から始まる春の全国交通安全運動(15日まで)などの機会を利用し、啓発を進める方針だ。

 厳しい状況の中、担当者は「できる限り情報を提供し、加入率アップに向けて周知を図りたい」と話している。