中国全土の入国者に網をかけない状況が問題視される中、政府は3月9日から中国と韓国からの入国者に2週間の自宅などへの待機、公共交通機関の不使用を呼びかける事実上の「入国制限」を始めた。3月に入って欧州、さらに米国でも感染が爆発的に広まったが、検疫所の対応はすぐには追い付かなかった。
京産大の卒業生3人が欧州から帰国した同月中旬。検疫所では欧州からの入国者に特段の対応がとられておらず、卒業生らは難なく検疫所を通過している。危機的状況にあるイタリアやスペインからの入国者への待機要請やPCR検査が始まったのは同月下旬だ。
政府は4月3日からようやく中国全土、欧米など新たに49カ国・地域からの外国人の入国禁止に踏み切るとともに、海外からの日本人を含むすべての入国者に自宅待機などを求める。検疫にこれ以上の遅れは許されない状況だ。
■関空の検疫「ぎりぎりの体制」
新型コロナウイルスの感染拡大に、空港検疫が追い付いていない。近年、感染症は発生地で封じ込められる傾向にあったが、すでに世界的に感染が広がり、国内でも医療崩壊の懸念が強まる中、感染を最小限に抑える水際対策の重要性が改めて指摘されている。
「ぎりぎりのところでやっている」