京産大クラスター、後手に回った空港検疫 水際対策に課題

関西国際空港の検疫検査場では、サーモグラフィーで入国者の体温を確認していた=1月23日午前、大阪府泉佐野市(須谷友郁撮影)
関西国際空港の検疫検査場では、サーモグラフィーで入国者の体温を確認していた=1月23日午前、大阪府泉佐野市(須谷友郁撮影)

 新型コロナウイルスをめぐって、欧州から帰国した京都産業大の卒業生から感染が拡大するなど、海外からの入国者を受け入れている空港の「水際対策」が問い直されている。無症状でも感染するウイルスの特性や感染力の強さ、欧米での急速な感染拡大への対策は後手に回り、国内の感染拡大を食い止められなかったことは否定できない。

 1月の国際線旅客数が過去最高の205万人に達した関西国際空港。厚生労働省の指示を受け、関西空港検疫所では7日から新型コロナウイルスへの警戒を始めていた。

 ただ、当初はポスターや館内放送で「武漢市から帰国した方でせきや発熱がある場合は検疫官に申し出てください」と呼びかける程度。旅客は次々に検疫所を通過していた。

 同月下旬には中国全土に新型コロナウイルスの感染が拡大し、無症状での感染事例も報告されたが、検疫の強化は遅れた。検疫所では2月7日にPCR検査を実施できる態勢となったものの、対象は有症者など感染の疑いが強い場合で、武漢を含む湖北省で過去2週間以内の滞在歴がある旅客に限られた。

 その後、厚労省は出入国管理法で「流行地域」として外国人が入国禁止となった国・地域について、すべての入国者にPCR検査を実施する方針を採用。同13日、「流行地域」に該当する湖北省と浙江省からの全入国者を対象に検査を始めた。

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