朝晴れエッセー

自分にできること・4月2日

私は子供の頃から練り物が大好き。行きつけのスーパーで時々試食販売があり、そのときは必ず購入していた。

昨今の事情で見かけなくなってしまったが、今日久々に出店されていて、喜び勇んで近付くと、練り物は一枚一枚真空パックされ、もちろん試食はなし。普段なら販売員のおじさんの元気な呼び込みの声に引き寄せられ、試食にたくさんの人がいて賑(にぎ)わっているが、今日はみんなが素通り。おじさんは手持ち無沙汰そうに静かに立っていた。

「どうしようかな」と思案中の私に、「真空パックだから1週間もちますよ。おいしさは変わらないよ」と話しかけてきた。普段なら今日食べる量を買うのだが、「それなら」と思い、普段よりかなり多めに購入した。私が去ったあと、おじさんの元気な呼び込みの声が聞こえ、振り返るとお客さんが足をとめていた。何だか少しうれしくなった。

帰宅後、きっちり手洗いし、しょうが天を一枚手にもってぱくついた。子供の頃からのこの食べ方が一番。いつもと変わらない味…とてもおいしい。ついもう一枚ときくらげ天を食した。

真空パックの手間、材料費もかかるだろうが値段が変わらなかったことも困難に負けない商売人の心意気を感じた。

先は見えないが今が頑張り時と思い、台所を預かる主婦として遊興費が浮いた分、普段よりも家ごはんを豪華にして体重増加を気にしつつ、食で少しでも経済に貢献しようと思う。

木村陽子(54) 大阪市平野区