新社長 我かく闘う

九電送配電初代社長・広渡健氏 低廉、良質な電気を安定供給

 ■収益強化需要開拓と海外事業

 大手電力会社から、家庭や企業などに電気を届ける送配電部門を切り離す発送電分離に伴い、九州電力は1日、送配電事業を担う子会社、九州電力送配電を発足させた。新会社の初代社長に就いた広渡健氏は3月に産経新聞のインタビューに応じ「低廉で良質な電気を安定的に届ける使命は変わらない。決意を新たに職務に臨む」と抱負を語った。(九州総局 中村雅和)

 現在、将来的に安定して電気を供給できるかの瀬戸際と思っています。多発する自然災害での復旧費や、更新時期が迫っている経年劣化した設備への手当てなど課題は多い。託送料金制度をはじめ今後の制度設計で、国にはそれらへの対応策を織り込んでもらう必要がある。この点はこれまでも訴え続け、理解されている面はあると感じている。今後も送配電業界として、しっかりと発信していく。

 今回、九州電力の社内カンパニーから自立する。自ら稼ぎ、収益を安定させなければならない。従来は、送配電部門の仕事は安定供給で、電気を売ることは営業部門の仕事という意識があった。しかし今後は、需要開拓もわれわれの業務と思わなければいけない。

 家庭や工場で、ガスなど他エネルギーから電気への転換を進め、需要が増せば、われわれに託送料が入る。お客さまにとっても、快適な生活やCO2削減につながる。ウィンウィンの関係が築ける。

 もちろん、公平中立な立場ですから、販売するのは九電の電気とは限らない。新電力の皆さんの電気でも構わない。とにかく電気を使ってもらうことが、収益につながる。

 その意味で企業誘致にも力を入れます。新型コロナウイルス感染拡大の中、サプライチェーン(部品の調達・供給網)の海外依存による問題が浮上しました。各企業ではリスク管理上、国内回帰が大事だという心理が生まれているようだ。東京支社のメンバーを中心に、九州域外の企業に、働きかけを強化したい。九州は他地域と比べ電気料金は比較的安い。その辺りもPRし、ぜひ工場などが来てもらえるよう努力したい。

 自ら稼ぐという観点からは、海外事業にも注目しています。

 今国会で審議されている電気事業法などの改正案では(特定地域での配電事業を認める)ライセンスの新設が盛り込まれました。離島や山間部などで既存の送電網から切り離し、独立した運用が制度上は可能になる。ただ、国内では蓄電池などの技術がまだ成熟していない。同じ料金体系でできるかといえば厳しいでしょう。しかし、そもそも送電網がないような場所であれば別です。海外ではそのような地域は多い。収益も得られるし、われわれとしても知見を集めることができるので、チャンスがあれば参入したい。

 新たな業務が増える中、既存の仕事を効率化する必要がある。送電網の巡視や保守などは、現在もさまざまな現場で共に働いている九電工さんをはじめ、協力各社との連携を強めることも選択肢でしょう。どのような運用体制を作ればいいのかを検討をしています。

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【プロフィル】広渡健

 ひろわたり・たけし 昭和32年11月、福岡県生まれ。九州大学工学部卒業後、55年に九州電力に入社。お客さま本部部長や配電本部部長、執行役員北九州支社長などを経て、令和元年6月から常務執行役員送配電カンパニー社長。4月1日に発足した九州電力送配電初代社長に就任。

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