【風を読む】ドラえもんには悪いけれど 論説副委員長・沢辺隆雄 - 産経ニュース

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ドラえもんには悪いけれど 論説副委員長・沢辺隆雄

 来春から中学校で使われる教科書の検定結果が公表された。子供たちはどんな教科書を使っているのか知る貴重な機会だ。「従軍慰安婦」が復活した「歴史」だけでなく、「家族」の描き方にも注目したい。

 今回、技術・家庭科の家庭分野の教科書の検定が話題になった。「ペットやロボットを家族の一員だと考える人もいます」との記述に対し、「学習指導要領に示す内容に照らして、扱いが不適切」との意見がつき、結果的にこの一文が削除された。

 その教科書を見ると、家族・家庭と地域とのかかわりを学ぶ章の導入部分だから、家族の基本的な役割を置いて、ペットやロボット…とくれば、首をかしげるのはもっともだろう。

 同じ見開きページには「ドラえもん」「名探偵コナン」「ちびまる子ちゃん」など漫画やアニメに登場する「家族」の絵が載り、家族や家庭の「イメージは、人によって異なっています」などと考えさせている。

 のび太君一家と並んで「ドラえもん(ロボット)」、毛利小五郎・蘭親子と並び「江戸川コナン(居候(いそうろう))」と絵の説明があり笑えるが、授業では家族の多様性を強調する前に、現実の家族の役割について教え、考えさせてもらいたいところだ。

 戦後の教科書は、個人の権利などについて積極的に取り上げる一方、伝統的な家族の役割や重要性について冷淡な傾向が指摘されてきた。

 過去に「祖母は孫を家族と考えていても、孫は祖母を家族と考えない場合もあるだろう。…犬や猫のペットを大切な家族の一員と考える人も」などと書いた高校教科書もあり、疑問視されたこともある。

 家族の取り上げ方は、教科書によっても違いがある。社会科の公民分野では、少子高齢化の項目で核家族化や1人世帯の増加など、多様化する家族に重きを置く例が目立つようだ。

 他方で「私たちは、まず家族の中で育てられ、人格をはぐくみ、慣習や文化を受け継ぎ…。やがて新しい家族をつくり、子育てをします…」と家族の「役割」「価値」を手厚く扱う教科書もある。変化が激しく不透明な時代だからこそ、社会の基礎である家族について学ぶ機会を大切にしたい。