浪速風

五輪延期もムダでなかったと思える1年に

人生にムダなことはひとつもない、と言ったのは屈指の苦行とされる「千日回峰行(かいほうぎょう)」を2度達成し87歳で亡くなった天台宗大阿闍梨(だいあじゃり)、酒井雄哉(ゆうさい)師だ。戦後のある時期、仕事に行くのが嫌になり、同じ時間に家を出て東京の街をぶらぶら歩き、同じ時間に家へ帰るという毎日を過ごした

▶人にはバカなことをと思われただろうが、行では京都を1日に最長84キロ歩くこともある。それを思い出したら長いと感じなくなった。「東京でリハーサルしていたみたいなものだから」と(「ムダなことなどひとつもない」)。人間が行うことはすべてどこかにつながっている-と悟ったのだった 

▶東京五輪の延期は、選手や関係者のみならず、心待ちにしていた人たちにとっても思いは百人百様、失望は大きく不安も残ることだろう。でもこの1年も、それぞれのどこかにつながっている。ムダではなかったと思うには、今を、そしてこれからをどう生きるかにかかっている。