朝晴れエッセー

2つの卒業・3月28日

僕は現在84歳です。今年で長年お世話になった春日中学校夜間学級を3月15日に卒業しました。

僕は幼いときに学校のいじめと家庭のつごうで小学校に行けませんでした。僕は夜間中学校に入学するまで自分の名前も書けませんでした。しばらくして、やっと住所と名前を書けたのを今でも覚えています。

同時に64年間続けた車の運転も3月15日に卒業しました。運転免許は妻より長く肌身離さず持っていました。でも僕は車の運転免許を返すときに免許を見ていると、当時を思い出しました。読み書きが出来ないので誰よりも苦労をしました。

自動車学校では皆さんは車の話ばかりしていましたが、僕は学科のことが頭から離れませんでした。仮免の学科試験のときに試験用紙を見たら何を書いているのか分かりませんでした。何回も学科を受けました。やっと自動車学校を出て本番の試験でした。そのときも前の晩は学科のことばかり考えていました。

試験場に行くとたくさんの人がいました。皆さん本を見ていました。隣の席の方に聞くと試験用紙にはかなが打ってあると聞きました。何回かでやっと運転免許を手にしました。帰りの電車で苦労して勝ち取った免許を何回も見ました。今考えるとその喜びは初めて住所と名前を書けたときと同じくらい嬉しかったです。

僕にとっては夜間中学校の卒業と、車の運転を卒業した3月15日は忘れられない1日になりました。

西畑保(84) 奈良市