万博会場・夢洲へのアクセス 新橋なしで市・協会合意へ

大阪府市がIRの誘致を目指す大阪市の人工島・夢洲(左下)
大阪府市がIRの誘致を目指す大阪市の人工島・夢洲(左下)

 2025年大阪・関西万博の会場となる人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)をめぐり、アクセス改善のため運営主体の日本国際博覧会協会が求めている橋の新設について、大阪市が「新たに橋を架けなくても予測される交通需要に対応できる」と結論づけたことが27日、分かった。市は人工知能(AI)も活用したハード・ソフト両面での交通コントロール対策を新たに実施する方針で、協会側と近く合意するとみられる。

 現在、夢洲へ大阪市内から行くには「夢舞大橋」か「夢咲トンネル」の2ルートしかない。万博期間中、夢洲には1日最大約28万5千人が訪れると想定されるが、うち約6割はバスや車を利用する見込みで、協会側や関西経済界は来場者のピーク時に起こる渋滞を懸念し、夢洲への架橋が必要だと主張していた。

 協会側が2月に市に送付した予測データによると、来場者のピークによる長時間の渋滞が見込まれるのは、夢洲に隣接する舞洲(まいしま)(同市此花区)の交差点で、午前8時台。市側はデータの詳細な分析を通じ、改めてアクセス強化策や交通コントロール手法を検証した。

 その結果、信号機の操作など舞洲の交通量をコントロールするハード・ソフト両面での対策を強化することで、渋滞の回避は可能だと判明。AIを活用した入退場調整や、情報通信技術(ICT)を活用した物流車両の交通量分散のほか、物流拠点の拡大などで、ピーク時の対応は可能だとし、新たな架橋は不要との結果をまとめた。

 市によると夢洲へ橋を新設する場合、市は100億円以上の費用を負担する必要がある。設計や工事期間を考慮すると、今年度末にも結論を出す必要が指摘されていた。

 これまで大阪市の松井一郎市長は「来場者にいかにストレスなく入退場してもらえるかを総合的に判断していきたい。橋を架けるより、よい案はあると思う」と述べ、橋の建設には否定的な考えを示していた。

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