東京五輪・パラ、1年延期でどうなる

 ≪ホテル・航空≫ キャンセル対応 業界検討へ

 東京五輪・パラリンピックの開催延期で、観光業界もキャンセル対応などの検討に乗り出した。

 全日本空輸広報は「五輪が開催されない今夏は来日しない人もいると思う。そういう人のキャンセル料をどうするか今後検討する」と説明。同様の検討に入る日本航空も「夏期の乗客が全て五輪観戦を目的としているわけではない」として影響を見極める考えだ。

 また帝国ホテル東京(東京都千代田区)を運営する帝国ホテルは、「当初の開催時期である7、8月の期間中、総客室数931室のうち数百室が(大会関係者向けに)確保されていた」と明かし、今後、宿泊日程の調整や対策を進めるという。星野リゾート広報は「日本・東京には五輪以外にも(訪問地としての)ポテンシャル(潜在力)はあるので予約の全てがキャンセルとなるわけではないと思う」としている。

 ≪選手村≫ マンション 引き渡しに遅れ

 東京・晴海の選手村跡地にできる新しい街「晴海フラッグ」の分譲マンションの引き渡しが遅れるなど影響が懸念される。

 晴海フラッグは、東京の臨海部に分譲マンション約4100戸や商業施設、保育施設などを整備する計画で、総面積は約13ヘクタールに及ぶ。

 まさに新しい街。そしてマンションは選手村として使われた後に改修され、2023年3月下旬から入居が始まる予定。既に販売が始まっており、事業者側との交渉が必要になるが、業界関係者は「五輪が延期となれば、入居も同じだけずれ込む可能性がある」と指摘した。

 不動産取引では契約後にキャンセルされても手付金を返さないのが通常だが、入居の遅れを理由としたキャンセルの場合はどうか。

 補償問題が浮上する可能性も出てきそうだ。

 ≪テレビ中継≫ 番組1000時間 NHK再編成

 中継を予定していたテレビ各局は、番組編成の大幅な見直しを迫られることになった。56年ぶりの自国開催のため、各局は2016年のリオ五輪を上回る長時間放送を計画。NHKは計1000時間規模とみられていただけに打撃は大きい。NHKの木田幸紀放送総局長は25日の定例会見で、「延期された大会がどのようなものになるか、IOC(国際オリンピック委員会)の議論の行方を注視する」と語った。

 在京民放キー局も今回の五輪に向け、特別な態勢を敷いていた。「どこのチャンネルを見ればいいのか分からない」と視聴者が戸惑うことがないよう、大会期間中のほぼ毎日、各局が輪番制で午前9時から午後11時まで、長時間放送する枠組みを構築していた。TBSの伊佐野英樹取締役は同日、「レギュラーを復活させるのか、別途特番を編成するのか、ベストなものが何かこれから議論する」と話した。

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