浪速風

森友学園問題に潜む不気味さ

官僚が政府に都合のいいように事実を曲げて文書を作り、つじつまが合わなくなると過去の記録を改竄(かいざん)する。政府の発表に疑いを抱き、真実を追うことは命がけ-。ジョージ・オーウェルの小説「1984」が描く空想の世界だが、現代日本に相似形がある。いまだ決着しない森友学園問題だ

▶文書改竄に携わったことを苦にして自殺した元財務省近畿財務局職員、赤木俊夫さんの手記が公開された。赤木さん自身が知る経緯を詳細に記している。家族にわび、死を恐れて乱れる筆跡は読む者の心を締め付ける。遺族が真実を求めるのは当然だ 

▶1984に登場する指導者は生身の人間かどうか判然とせず、真の支配者は体制維持という目的そのものだったとも読める。森友学園問題は、誰が、あるいは何が引き起こしたのか。政治哲学者、ハンナ・アーレントがナチスの裁判で喝破した、思慮なく権威に従って罪を犯す「悪の凡庸さ」も連想させられ、身震いする。