今回の検定では、天皇や皇室に関する表現でも疑問が残る結果となった。
帝国書院の公民は「天皇の国事行為を国民全体でコントロールする」と記述。「コントロール」という言葉は共産党の志位和夫委員長らが使っているが、敬意に欠ける面もあり一般的とはいえない。それでも検定に合格する一方、自由社の「日本の皇室は、神話の時代から現代まで続く」との記述には「神話を史実と誤解する」として、「仁徳天皇は世界一の古墳に祀られている」との記述には「表現が一般的ではない」などとして検定意見がつき、認められなかった。
自虐的ともいえる記述について、教科書会社の担当者は「現在使われている教科書にも同じ記述があり、問題はない」としている。
令和3年度から全面実施される中学校の新学習指導要領には、伝統や文化への関心を高め、我が国の歴史に対する愛情を深める-との内容が明記されている。
近現代史に詳しい憲政史家の倉山満氏は「少なくとも歴史への愛情を深めるという点で、教科書検定が機能しているとはいえない」と指摘している。