《新型コロナQ&A(1)》新型コロナってどんなもの?

 感染拡大が続く新型コロナウイルス。ウイルスの特徴、日頃の対策、もし感染が疑われたら…。正しく恐れるための情報をQ&A形式でまとめました。

Q 新型コロナってどんなもの? 

A 風邪ウイルスと同類。肺炎の原因に

 新型コロナウイルスによる感染症は中国湖北省武漢市で2019(令和元)年12月に発生が報告され、世界中で感染が拡大し、1万3千人を超える死者が出ている。

 人に感染するコロナウイルスはこれまで6種類が知られている。このうち4種類は風邪の原因の10~15%(流行期には35%)を占めるありふれたウイルスだったが、近年になって他に重篤な肺炎を引き起こす2種類が確認された。

 2種類はそれぞれ、「重症急性呼吸器症候群(SARS、サーズ)」「中東呼吸器症候群(MERS、マーズ)」の原因になる。SARSは02、03(平成14、15)年に中国を中心に流行し、MERSは12(同24)年以降発生している。

 新型コロナウイルスは、コウモリ由来とされるSARSやヒトコブラクダから広がったとされるMERSと同様に、動物由来との見方がある。新型コロナウイルスの遺伝子配列はSARSに近く、確定的な証拠はないもののコウモリが起源になった可能性があると考えられている。

 世界保健機関(WHO)は今年2月、新型コロナウイルスによる肺炎を「COVID19」と命名。「コロナウイルス病」の英語表記を略した「COVID(コビッド)」と感染が報告された年を組み合わせている。

Q 症状の強さは?

A 8割が軽症で中国の致死率は3・8%

 新型コロナウイルス感染の国内症例では、37・5度以上の発熱やせき、喉の痛み、息苦しさといった呼吸器症状が1週間前後続き、強いだるさ(倦怠感)を訴える患者が多いという。

 世界保健機関(WHO)によると、潜伏期間は1~12・5日、多くは5~6日。ともにコロナウイルスが原因の「中東呼吸器症候群(MERS、マーズ)」は2~14日、「重症急性呼吸器症候群(SARS、サーズ)」は2~10日で、大きな違いはみられない。

 肺炎になって重篤化した場合は、人工呼吸器などの集中治療が必要になり、季節性インフルエンザよりも入院期間が長くなる事例も報告されている。国内での感染や中国湖北省武漢市からのチャーター便帰国者の事例では、陽性で症状があった769人のうち、人工呼吸器などを必要としたり、集中治療室に入院したりした重症者は6%弱だった。

 中国での患者約5万6千人のうち、軽症例が約8割で、死亡例は計2114人、致死率は3・8%だったというWHOと中国の合同専門家チームの分析結果もある。致死率はMERSが3割以上、SARSが約1割とされ、新型コロナウイルスの方が低い様子もうかがえる。

Q 治療法は?特効薬はいつできる?

A ワクチンはない。臨床研究は進む

 新型コロナウイルスに特効薬やワクチンはなく、別の病気のために開発された既存薬の治療効果の臨床研究が進められている。

 新型インフルエンザ向けに開発された抗ウイルス薬「アビガン」とエイズ治療薬「カレトラ」は、いずれも新型コロナウイルスの増殖も抑える効果が期待され、患者への投与が始まっている。アビガンは国内に約200万人分の備蓄がある。ただ、動物実験で胎児に奇形が出る副作用が指摘され、妊娠を望む女性らへの使用には注意が必要。

 エボラ出血熱の治療薬「レムデシビル」は国内では未承認だが、人道的観点から重篤患者らに投与され、症状の悪化を食い止めた可能性が指摘される。

 ぜんそく治療に使われる吸入用ステロイド薬「シクレソニド」にも注目が集まる。神奈川県内の病院で患者3人に投与したところ、症状が改善した。ただ有効性の判断にはさらなる症例の蓄積が必要で、日本感染症学会は薬を使った症例の報告を呼びかけている。

 テレビ電話で行われた日米など先進7カ国(G7)の首脳による会議でも、ワクチンや治療薬の開発研究に取り組むことが共同声明に盛り込まれた。

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