【オーケストラ神話のゆくえ フィナーレ】オーケストラの未来は? (1/3ページ) - 産経ニュース

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オーケストラ神話のゆくえ フィナーレ

オーケストラの未来は? 

【オーケストラ神話のゆくえ フィナーレ】オーケストラの未来は? 
【オーケストラ神話のゆくえ フィナーレ】オーケストラの未来は? 
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 オーケストラの多くが集客や運営の厳しさに直面している。今後、公的補助や民間支援の減少にあらがえず、運営が破綻するケースも出てくるのか。それとも、街を豊かに彩る不可欠な存在として、音色を響かせ続けることができるのか。「オーケストラはつぶれない」という神話が揺らぐ中で、音楽の世界にさまざまな立場でかかわる3人にこれからの神話の展望を聞いた。

(文・安田奈緒美)

♪街に多様性は必要 文化の花咲かそう 作家・有栖川有栖さん

 「街にオーケストラがあるのは当たり前だと思っていました」

 平成20年、大阪府が大阪センチュリー交響楽団(現・日本センチュリー交響楽団)への補助金廃止の方針を打ち出したのを受け、継続を求める7万5千人の署名を集め、当時の知事、橋下徹氏に提出した。

 「自業自得の世界で表現する小説家は公的サポートを受けることはないが、文化の中にはそれが必要なものもあると思う」としたうえで、当時の状況について「何をどう支援していくのかは合意形成が必要だが、サポートを受けることが甘えている、間違っているとされる流れはまずいなと感じた」と振り返る。

 コンサート収入だけでは運営が難しいオーケストラもその一つで、存続のためには公的、民間、そして個人の支援が必要だと考える。「『文化の花が咲く』という表現もあるが、もし大阪という街が森だとすれば、オーケストラなどの文化芸術は花や鳥ではないでしょうか。草木が育ち、実がなって森が大きくなっても、鳥や花がなければ生きていけない人もいる」

 クラシック音楽にはまったのは中学生の頃。音楽鑑賞の授業で名曲に触れ、お小遣いをためてLPレコードを買い集めた。周囲に音楽家がいるわけでも、楽器を習っていたわけでもない。ふとした出会いで「カッコよさ」に惹(ひ)かれた。今も時間を見つけてはセンチュリーをはじめオーケストラのコンサートに向かう。

 「いつどこで誰の喜びのきっかけにつながるかわからないオーケストラ」は街にとって必要な存在だという。「その街には音楽家やスタッフが住んでいる。俳優もいて、推理小説家もいる。多様な価値観を受け入れ、互いを尊重することが都市の魅力につながる」と信じている。

【プロフィル】有栖川有栖

ありすがわ・ありす 昭和34年、大阪市生まれ。「月光ゲーム Yの悲劇’88」で本格デビュー。多くのミステリー小説を手掛け、「火村英生」シリーズで平成30年、吉川英治文庫賞。日本センチュリー交響楽団定期演奏会のプログラムへの寄稿が今年2月で112回を数えた。

♪文化は都市の強みになる 阪急阪神HD会長・角和夫さん

 阪急電鉄の創業者、小林一三は沿線で宝塚少女歌劇(現・宝塚歌劇)の公演を行い、宝塚大劇場を建設するなど、文化を取り入れた街づくりを進めた。先人の知恵は今も、阪急阪神ホールディングス(HD)に受け継がれている。