朝晴れエッセー

卒園まであと…・3月17日

「あと11日通えるね」

わが家には、卒園を迎える娘がいる。ほし組の黒板には残りの登園日数が書かれてあり、その数字をいつも頭に刻んでいる。確実に、寂しさも心に刻みながら、彼女なりに園生活を楽しんでいた。

年少年中児が主催するお別れ会の準備が進んでいた2月下旬。突如、その11日は幻になった。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための全国的な休園である。

保護者宛ての連絡メールを受信し、登園は今日で最後になることを当日お迎え前に知らされる。こんなこともあるのだなと心を納得させるためにつぶやいた。

お迎えに行くと、「おひさまにありがとう」という歌をクラスみんなで合唱してくれた。娘を含め園児たちは、今日で最後と分かっていながらも、笑顔を見せていた。「おひさまが今日もまたしあわせを運んでくる」というところまで歌ったところで、娘の顔が曇った。

制服の袖で涙を拭っている。顔を上げて歌おうとするが、涙を抑えられず顔を覆ってしまった。中盤になると、涙顔を上げていつもの彼女らしい大声を響かせた。

帰宅し、園リュックにつけていたキーホルダーを外し、園帽子も日光の下に干さないとなと思ったが、しばらく無言で見つめてから、「お疲れさま」と声をかけた。そっとなでると、思い出が喉の奥まで込み上げてきて苦しくなった。

私たち親子に幸せを運んでくれた「おひさま」とは、大好きな幼稚園そのものだった。そのことを娘はきっと分かっていたのだ。

秋元友江(38) 千葉県柏市