経済インサイド

「危機的状態」地方の交通インフラの処方箋

国交省は今年度、公共交通機関の維持や、自動車免許返納後の高齢者に移動手段をどう提供するかといった共通課題を抱える大都市近郊や地方都市、過疎地など全国11の地域のマース事業を支援している。

ただ、マース普及の課題もいくつか指摘されている。国交省の担当者は、公共交通機関だけでなく小売業や観光事業者との連携が重要になると指摘する。小田急電鉄が新百合ケ丘駅(川崎市麻生区)で実施しているような、交通機関を使って移動した先にある飲食店のチケットも購入できるサービスなどが不可欠になるとみる。

また、マースはスマートフォンアプリを使うことが前提となっている。このため、地方の高齢者に便利なサービスを提供したいと事業者が考えても、地方の高齢者がスマホ利用に慣れていないことも根本的な難問といえそうだ。アプリの操作性の工夫が求められる。

マースの収益化の方向性を見いだすことが、本格化してきた官民の取り組みの試金石となる。

(経済本部 大坪玲央)

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