【経済インサイド】「危機的状態」地方の交通インフラの処方箋(1/2ページ) - 産経ニュース

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「危機的状態」地方の交通インフラの処方箋

JR下曽根駅構内に鉄道とバスの乗り継ぎがわかる時刻表が設置された=14日、北九州市小倉南区(JR九州提供)
JR下曽根駅構内に鉄道とバスの乗り継ぎがわかる時刻表が設置された=14日、北九州市小倉南区(JR九州提供)

鉄道やバスなど複数の交通機関が連携して先進的なサービスを提供する「MaaS(マース)」が、地方都市で着実に進んでいる。九州では鉄道とバスの伝統的なライバル企業が連携を進めているほか、国土交通省も、時刻表などのデータを活用するためのガイドラインを作成、全国の交通事業者の連携を支援する考え。ただ、地方の高齢者ら多くの人にサービスを利用しやすくするなどの課題はありそうだ。

昨年10月に連携を発表していた九州を代表する交通事業者、JR九州と西日本鉄道は3月14日から、JR下曽根駅(北九州市小倉南区)でバスと電車のダイヤを連携させる。午後4~6時の帰宅時間帯では、ほぼすべてのバスが列車と接続するようになるという。

下曽根駅は、北九州市の郊外、小倉南区の中心駅の一つで、周辺からバスで同駅まで移動して、市の中心部の小倉駅まで列車で移動しやすくするのがダイヤ連携の狙いだ。小倉南区の住民は、多くの地方都市と同様に自家用車での移動が中心だが、高齢化が進んでいるため、免許返納を検討している人も多い。

下曽根駅からバスで10分程度の地域に住む主婦、大坪和江さん(70)は「普段は車で移動しているが、免許を返納する時期になったら、バスと鉄道が連携してくれていると乗りやすくて助かる」と話した。また、同区の主婦、槻本まき子さん(63)も「バスだと渋滞もあるので到着するまでの時間が読めなかったが、鉄道と連携してくれるとより正確に移動できる」と歓迎している。

両社の連携の背景には、地方の人口減少で利用者が減っているという共通の課題がある。一方、特にバス会社にとってはドライバーの高齢化や成り手不足で、バスのネットワークを維持するのが困難になっているというのも大きな課題だ。

そのため、JR九州と西鉄はダイヤを効率的に接続させることで、利用者と事業者双方に最適な仕組みを作ることを決めた。両社は、下曽根駅での連携の効果を確かめた後は、ほかの福岡県内の駅での連携も探る。

ダイヤの接続は、両社の提携サービスの第一歩という位置付けだ。両社は、すでにトヨタ自動車が開発した、さまざまな交通手段の経路検索や、鉄道やバスのチケットの購入などができるマースアプリ「マイルート」で連携している。今後、マースアプリを使った新しい連携サービスも検討する。

JR九州と西鉄のダイヤ接続に代表される各種データの交通事業者間連携は、国土交通省も全国のマース普及のカギになるとして後押しする考えだ。3月末までにデータ連携の手引きとなるガイドラインを作成する。国交省の担当者は「全国には時刻表などを紙ベースでやり取りしていて『データとは何か』という交通事業者も少なくない。今後、全国の中小の事業者にもデータを連携させる効果をわかってもらうためにも、ガイドラインを作成することにした」と話す。