浪速風

疫神退散を願う京都の茅の輪くぐり

平安時代、都だった平安京が都市として発展すると疫病の流行が激しくなった。「人々はそれを横死した人々の怨霊のしわざとしたり、外国から渡来してきた疫神によると考えた。たしかに疫病が蔓延(まんえん)する様(さま)は、行疫神が移動しているように見えたのだ」と文化勲章受章の歴史学者、脇田晴子が書いている(「中世京都と祇園祭」)

▶その怨霊や疫神を慰め、去ってもらおうと始まったのが夏の風物詩として知られる八坂神社(京都市東山区)の祭礼、祇園祭だ。その締めくくりには、境内の摂社・疫神社に無病息災を祈る茅(ち)の輪が置かれ、人々がくぐるのが恒例である

▶先週、新型コロナウイルス感染拡大を受けて同社境内2カ所に茅の輪が設置された。終息祈願のためで、明治時代のコレラ流行でも置かれた例があるという。昔と違い、今は疫神の正体が分かっている。輪をくぐって心身を清め、過剰な不安を追いやればそれでよし。あとは手洗い、マスクである。