朝晴れエッセー

ゴミさんありがとう・3月15日

私の家がゴミ当番のときでした。ゴミ当番は朝、たたまれていたゴミ箱を組み立て、ゴミの回収が終わったら、ゴミ箱を片付けるのです。

私がちょうどゴミ箱を組み立て終わったとき、近所のおばあちゃんが、大きなゴミ袋を持ってこられました。私に「おはようございます。ご苦労さまですね」と、あいさつされ、ゴミ袋を丁寧にゴミ箱に置かれました。

そのとき、確かに「ありがとう、ありがとう」と、つぶやかれたような気がしました。不思議に思った私は、おばあちゃんに「今、何とおっしゃったのですか」と聞きました。すると、おばあちゃんは「私はゴミを捨てるときには、いつでも『ありがとう、ありがとう』と言っています。だって、今までとっても役に立っていたんですもの」とおっしゃいました。

全くおばあちゃんのおっしゃる通りです。ゴミになるまでは、大いに役に立っていたことなど完全に忘れてしまい、邪魔物扱いにして、ゴミ箱に放り込んでいた自分がとても恥ずかしくなりました。

おばあちゃんは、九州の田舎の出身だそうです。田舎では今でも、一部のゴミは燃やして、土地の殺菌や肥料にしたり、暖をとったりしているそうです。

おばあちゃんに出会い、今まで忘れてしまっていた何かとても大切なことを教えられ、考えさせられたゴミ当番の朝でした。

福山 和明 70 奈良市中山町