浪速風

慎重さは大切だが・・・

結城神社の梅の枝に止まるメジロ=津市
結城神社の梅の枝に止まるメジロ=津市

「うらゝかなれば、峰によぢのぼりて、はるかにふるさとの空を望み…」。鎌倉期の古典、鴨長明(かものちょうめい)「方丈記(ほうじょうき)」(岩波文庫)から。大火、地震、それに疫病。人々を襲った災難をつづりながら、長明は世の無常を表したとされる。でもそれだけではなかった。

▶こちらも外に出てみよう。もう春である。日差しは柔らかい。菜の花の鮮やかな黄色の向こうに白梅と紅梅が咲き競っている。陽だまりの土手にはタンポポが群生し、ツクシも顔を出している。新型コロナウイルスで世界保健機関はパンデミック(世界的大流行)の認識を示した。厳しい戦いが続く。だが季節は確かにめぐっている。

▶イベントの自粛ムードも漂う。慎重さは大切だが、過剰すぎて経済や社会生活が必要以上に萎縮することは怖い。冷静に警戒したい。「帰るさには、折につけつゝ、桜を狩り、紅葉を求め、蕨(わらび)を折り、木の実を拾ひて…」。こんな心持ちでゆとりを持って過ごすのもまた一案。