高齢化社会の進行に伴い、介護サービスの充実や高度化が求められる中、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)を活用した高齢者生活支援事業『LASHIC』を展開し、注目を集めるインフィック。国内で実績を重ね、海外展開も視野に入る。増田正寿社長(52)に足元の課題や今後の展開などを聞いた。(那須慎一)
--なぜ起業したか。また企業理念は
「介護保険が施行され2カ月がたった平成12年6月13日。前職の大手介護会社で、事業計画の甘さから福祉・介護業界初のリストラをすることになり、自身の部下も約250人が対象となってしまいました。その一人一人と向き合う中で、得た教訓が『ES(エンプロイーサティスファクション、従業員満足度)の追求なくしてCS(カスタマーサティスファクション、顧客満足度)はあり得ない』ということです。そのあってはならない経験と思いから『人と人を笑顔でつなぐ』という企業理念が生まれ、その理念を達成するために起業しました」
--現在注力している事業内容や主なターゲットは
「人財不足、財源不足、認知症高齢者、独居老人など超高齢社会を迎えたわが国の社会問題解決は喫緊の課題です。それらを解決するためにIoT・AIを活用した高齢者生活支援事業『LASHIC』に力を入れています。LASHICのシステムは、部屋内の温湿度や照度、運動量のほか、睡眠時のベッド上での心拍や体の動きを常にセンサーなどで測り、緊急時に離れて暮らす家族に連絡が行くナースコール機能に、AIに必要な処理をクラウド上で行う『クラウドAI』を組み合わせ、独居や高齢世帯の高齢者の自立を支援し、介護施設の生産性を大幅に上げることができます。現在、NTT東日本や大手印刷会社と提携し、規模拡大やスピードを上げています」