列車が個人の「映画館」に…5G実用化へ鉄道各社が実験 JRや大阪メトロ

 地下鉄では、大阪メトロが今年10月、国内初の地下鉄での5G接続実験に取り組む。住友商事と共同で、御堂筋線のなんば-心斎橋駅間のトンネルや駅に5G基地局を置き、通信サービスを使えるようにする。車内には専用の防犯カメラを取り付け、5Gの電波を使って高精細の映像が送受信できるかも検証する。

 令和3年度からは他の区間でも順次5Gを使えるようにし、7年の大阪・関西万博までには全路線で5Gを利用可能にする。同社グループが運営する大阪市の地下街も5G対応にする。

 もっとも、完全な実用化にはハードルもある。5Gは基地局から飛ぶ電波の距離が短いため、現行の4Gより多くの基地局が必要だ。沿線への5Gの基地局設置はドコモなど通信事業者が担うが、基地局の数が多すぎ、新幹線全線で5Gを使えるようになる時期のめどは「現時点では立っていない」(JR東海)。

 政府は減税や予算措置を講じ、基地局設置を後押ししている。これらの政策で基地局整備が進むかも、鉄道での5G実用化のスピードを左右しそうだ。

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