違法行為に気づけば、鉄道本社は運転士や車掌に指示を送り、すぐ適切な対応をとらせることができる。同様に車両から線路をカメラで鮮明に撮影すれば、ひび割れなど、事故につながる細かな異変を簡単に見つけることが期待できる。
こうした技術の実用化に向け、鉄道各社は実証実験に乗り出した。JR東海は昨夏、NTTドコモと共同で、静岡県内の三島-新富士駅間で新幹線の試験車両に実験用端末を搭載し、沿線の基地局との間で5Gの通信を行う実験を実施した。
時速200キロ超で走行しながら、超高精細の8K映像を端末に送ったり、車内のカメラで撮影された4K映像を基地局に送る実験に世界で初めて成功した。
JR西日本も昨年、ドコモと共同で、時速120キロ超の高速で運転する特急の回送列車車両を使い、実験。長期的な人手不足を見据え、「線路や車両などの保守点検作業などに活用したい」(広報)という。