ピースサインから指紋、瞳に最寄り駅 SNSから盗まれる個人情報

 同会カウンセラーの青山真理さん(48)によると、年間80件ほど寄せられるネットトラブルの相談のうち8割以上が中高生。「若者はSNSが生活の一部になっており、すぐに撮影した写真をSNSにアップする。そのため過去の投稿や知人の投稿画像から行動範囲が誰でも容易に特定できてしまう」とリスクを訴える。

容易に検索できる

 SNSでは、どの程度生体情報が入手されてしまうのか。

 「カメラに何げなくピースサインをするだけで指紋が出回ってしまう危険性がある」と話すのは、国立情報学研究所の越前功教授(48)だ。

 平成28年に越前教授らはピースサインをした自撮り画像を使用して実験。拡大した写真に画像処理を施し、指紋を強調するなどした偽の指紋の指を使えば、指紋認証を突破できることが判明したという。

 越前教授は「作業時間は1~2時間程度。条件さえ整えば高度な技術を使わず誰でも簡単にできてしまう」と説明する。

 近年は、スマホやパソコン、マンションのドアロック解除などで指紋認証の利用が広がっており、悪用されれば情報漏洩(ろうえい)の危険性も高まる。

 越前教授は、指紋の盗撮を防ごうと、指の表面に張り付けることで別の指紋の特徴を作り出す疑似指紋シールの実用化に向けた研究を進行中。「生体情報は変えることができない。取られる前に自衛策を講じるべきだ」と強調する。

 ITジャーナリストの高橋暁子さんも警鐘を鳴らす。「SNSで子供の写真を公開している保護者もいるが、入学式や入園式、文化祭などのハッシュタグは容易に検索できてしまうため注意が必要」。

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