右派、過半数に迫る勢い 入植地の主権適用にも影響 イスラエル国会選

3日、イスラエル・テルアビブで、支持者に向けて手を上げるネタニヤフ首相(中央)(ゲッティ=共同)
3日、イスラエル・テルアビブで、支持者に向けて手を上げるネタニヤフ首相(中央)(ゲッティ=共同)

 【カイロ=佐藤貴生】イスラエル国会(一院制、定数120)選挙は2日に投票が行われ、開票作業が進んだ。同国有力紙ハーレツ(電子版)によると開票率90%の時点でネタニヤフ首相率いる右派・宗教勢力が59議席を獲得し、政権発足に必要な過半数をうかがう勢いとなっている。投票前に米国のトランプ政権が公表した中東和平案が高い関心を集めたこともあり、投票率は71%に達した。

 ネタニヤフ氏の右派政党「リクード」の予想獲得議席数は36で第1党の見通し。同氏は3日未明、「あらゆる困難に打ち勝った」と勝利宣言した。同氏の最大の政敵であるガンツ元軍参謀総長の中道政党連合「青と白」は32にとどまり、中道・左派勢力全体でも54と伸び悩んだ。

 国会選は昨年4、9月にも行われたが連立協議が不調に終わり、この1年で3度目となった。

 収賄罪などで起訴されたネタニヤフ氏の初公判が今月17日に迫っているが、イランやパレスチナへの強硬姿勢を貫く同氏に対するユダヤ人右派などの支持が示された。当初劣勢とみられたネタニヤフ氏が勢いを回復したことに「有権者は法のシステムよりネタニヤフ氏の指導力を信頼している」(ハーレツ)などと批判的な見方も出ている。

 リブリン大統領は近く、議席を得た各党に意向を確認し、連立が組める可能性が最も高い政党党首に組閣協議を委任する。ネタニヤフ氏はこれを見越し、過半数の支持を確保するため野党勢力の切り崩しを始めたもようだ。

 「リクード」と「青と白」に続く第3党は、昨年9月の国会選に続いてパレスチナ人らが支持するアラブ系政党となる。米和平案に対する批判票を集めて選挙前の13議席から数議席増やすとみられる。

 ネタニヤフ氏はイスラエル寄りとされる米の和平案に基づき、パレスチナ人が多く住むヨルダン川西岸地区に点在するユダヤ人入植地へのイスラエルの主権適用を推進する考えだ。しかし、過半数を制する新政権が発足しなければ信任を得たとはいえず、強行すればパレスチナ側や国際社会の反発に火を注ぐ可能性が大きい。

 一方、新型コロナウイルス対策では、海外からの帰国者らを対象に感染防止措置を施した投票所を設置。ネタニヤフ氏は国民の健康や安全に厳しい態度で臨む姿勢をアピールし、終盤で支持を広げた。

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