B-1優勝「シロコロ」名称使用不可 苦境の厚木市 迫るタイムリミット

買えない市

 商標権を持つのは、「厚木シロコロ・ホルモン探検隊」でそれぞれ代表と副代表を務めていた中村昭夫氏(56)と小野塚徳博氏(64)の2氏だ。団体解散後、商標権を市に売却することを目指してきた。

 ただ、交渉で市は買い取りを見送っている。2氏が譲渡にあたり、市に提示した条件を市側がのむことができなかったためだ。2氏は市に提示した金額などを公表していないが、ある関係者は「これまで商標権獲得にかかってきた費用の数倍に上るのではないか」とみている。

 商標権者の一人、小野塚氏に内訳を尋ねると、「商標登録の費用約250万円と、申請に要した費用250万円の計約500万円。そこにB-1優勝時の写真など数万点の利用権、探検隊の実績紹介料などの権利費用を加算した」という。その上で「のぼりや写真、マスコットの使用権などをワンセットで購入してもらうのが条件」と話し、金額などの譲渡条件の妥当性を強調している。

 市の立場は苦しい。仮にワンセットで購入した場合は「市が使わないような内容も含まれる。税金を使って、いらないものまで買ったとすれば、税の無駄遣いというそしりは免れない」(市観光振興課の小野間善雄課長)ためだ。

嘆願書提出も

 一方で、市がシロコロのネームバリューという資産を失うことに懸念を示す声もある。ある市議は「せっかくここまで有名になったのだから、まちおこしにこれを継続して使っていかない手はない」と話す。

 この問題では、市内の「認定店」各店が翻弄されている。看板商品の名称変更を余儀なくされるだけでなく、のぼりやメニューから「シロコロ」の名称を外すことで費用もかさむためだ。

 各店舗からは「突然使えなくなると言われても…」「これで商売してきたのだから」といった困惑の声があがっている。事業者らは2月10日、小林市長宛てに問題解決を求める嘆願書も提出している。

 そうした声を受け、市側は「みんなが使えるようになり、それがまちおこしにつながる。話を進められることを望んでいる」(小野間課長)としているが、市の方向性はなお見えない。「シロコロ」の名称が使えなくなるタイムリミットは刻々と迫っている。

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