妻の育美さん(53)と営業を始めたものの、定休日はほとんどなく、午前3時まで働く日々。あまりの多忙さに体重は4カ月で7キロ減少したほどだ。
「このままでは体力が持たない」と同年10月にツイッターでスタッフを募集した。当時、空き部屋が2部屋あったことから、募集条件は「毎晩掃除を手伝ってくれたら入浴付きで部屋を無料で貸します」。近所から通う場合も無料で入浴できるとあって、さまざまな夢を持つ若者たちが、1人また1人と集まってきた。
小説の舞台にも
こうした取り組みはインターネットなどで話題になり、昨年12月に出版された小説「甘夏とオリオン」(KADOKAWA)では、若者が千鳥温泉で働きながら夢を追う姿が物語の設定に起用された。このほか、人気アニメ「BanG Dream!(バンドリ!)」では、ガールズバンドのメンバーが住み込んで働く場として千鳥温泉が登場し、今では聖地として多くのアニメファンらが訪れる。
また、若者から高齢者まで幅広い世代に銭湯の魅力をしってもらおうと、脱衣所や浴室を使った演劇公演やライブ、アマチュアプロレスの試合なども開催。来年には南歩さんの講演会も予定している。
桂さんは「月10日以上手伝ってくれるスタッフは随時募集している。若者がどんどん集まって、千鳥温泉だけでなく街も活気づけば」と話している。
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千鳥温泉の営業時間は午後2時半~11時。定休日は火曜日。