新型肺炎「ウイルスに二面性、正体見えず」大安研の奥野理事長

インタビューに応じる大阪健康安全基盤研究所の奥野良信理事長=大阪市東成区(南雲都撮影)
インタビューに応じる大阪健康安全基盤研究所の奥野良信理事長=大阪市東成区(南雲都撮影)

 新型コロナウイルスの感染が広がる中、西日本の公衆衛生研究の中核機関である大阪健康安全基盤研究所(大阪市)の奥野良信理事長(73)が産経新聞のインタビューに応じた。奥野氏は新型コロナウイルスに関し、現時点で爆発的な感染力はみられなくても特殊な環境で拡散し、高齢者は重症化するとして「二面性があり、正体が見えない。不思議な感染症だ」と語った。

 日本でも新型コロナウイルスの感染者が死亡し、事態は深刻化している。奥野氏は「国内(感染者の)発生の前後で別のフェーズ(局面)になった。パンデミック(世界的流行)に入りつつある」と指摘した。

 感染症の特徴は、病原性(症状を引き起こす性質)と感染力に表れる。新型コロナウイルスの病原性はインフルエンザウイルスと同様、高齢者のほか心臓病や糖尿病など持病がある人で重症化しやすいことだ。

 奥野氏は2002~03年に流行し、世界で770人超の死者を出した重症急性呼吸器症候群(SARS)と比べ「病原性は弱い」とみる。その上で「若い人は感染してもウイルスが増殖する間に免疫力がついて排除できるが、高齢者らは免疫力が低く、肺炎になる」と説明した。

「性質と症状が分からぬことが怖い」

 一方、現時点でインフルエンザウイルスやSARSウイルスと異なるのは、感染力という。

 「インフルエンザウイルスの感染力なら週単位で市中の数万人に一気に蔓延(まんえん)する。今回もそうかと思ったが、クルーズ船など特殊な環境でスポット的に確認されているのが不思議だ」

会員限定記事会員サービス詳細