花田紀凱の週刊誌ウオッチング

〈759〉名もなき「英雄」たちを見よ

新型コロナウイルスによる肺炎患者への対応を想定し長崎大病院で行われた訓練で、患者から採血する医師=1月28日、長崎市
新型コロナウイルスによる肺炎患者への対応を想定し長崎大病院で行われた訓練で、患者から採血する医師=1月28日、長崎市

このところ『週刊ポスト』の頑張りが目立つ。

今週号(2・28/3・6)のトップは「未知の殺人ウイルスと戦う名もなき『英雄』への讃歌」。

リードにこうある。

〈安全地帯に逃げ込み、利己的な行動に奔る人も現われた。後手後手に回る政府の対応を批判したくなるのも当然だ。しかし、である。そうしたなかでもなお、感染拡大を防ぐために、身の危険を顧みず、最前線で見えない敵と戦う人たちがいることを忘れてはならない〉

まったくそのとおり。後手、後手と政府を責めるのもジャーナリズムの役目のひとつには違いないが、こういう点にも目を配ってほしいのだ。

一例。

〈国立国際医療研究センター病院(東京・新宿)では、21人の医師が新型コロナウイルス感染症患者の治療にあたっている〉

むろん感染リスクもある。だが、

〈都立病院の場合、新型コロナの治療にあたる医師・看護師らには「防疫等業務手当」が支給されるが、その額は「一律日額340円」(東京都総務局人事部)だという〉。

『週刊新潮』(2月27日梅見月増大号)の取り上げ方も極めてまっとう。右柱で「世界から忌避される『大感染列島』ニッポン」。

上昌広氏(医療ガバナンス研究所理事長)の警告が怖い。

〈「国立感染症研究所は、08年に新型インフルエンザを想定して、首都圏の鉄道に感染者がひとり乗った場合、5日目に700人、10日目には12万人に拡大するとシミュレーションを出しています」〉

『週刊文春』(2月27日号)右柱は首相補佐官と厚生労働省大臣官房審議官の不倫話。情報の出どこが問題。左柱もやはり不倫の東出昌大独占告白。どちらも3週連続。『文春』ともあろうものが、とのみ。

『週刊朝日』(2・28)「蔓延(まんえん)するウイルス 徹底検証 コロナ デマと真実40問」は新味ナシ。  (月刊『Hanada』編集長)

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