東日本大震災教訓に「植物標本」保護の動き、全国に拡大

東日本大震災教訓に「植物標本」保護の動き、全国に拡大
東日本大震災教訓に「植物標本」保護の動き、全国に拡大
その他の写真を見る (1/2枚)

東日本大震災の津波で多くの文化財が被災したことを受け、本格的な修復に着手するまでの間に文化財の劣化を抑える処理方法を学芸員に教えるワークショップが全国で開かれている。ワークショップでは押し葉の標本や絵画の処理を学び、実際に体験。指導側は「全国レベルで処理方法を共有することは、今後の災害に役立つ」としている。

白衣、手袋姿で

使い捨ての白衣や手袋を身に着けた学芸員らは、水を張った容器に向かい、押し葉の標本を台紙に固定しているテープをピンセットで慎重にはがし、標本ラベルをはさみで切り取った。学芸員らは「慣れていないと標本を傷めてしまいそう」などと感想を口にしながら、作業を進めた。

岩手県立博物館(盛岡市)などでつくる実行委員会が2月18日に香川県立ミュージアム(高松市)で開いたワークショップには、学芸員約20人が参加。数人のグループに分かれ、被災資料を模した押し葉標本の洗浄に取り組んだ。

台紙からはがした標本はプラスチック板とネットで挟んで別の水につけ、筆で泥や砂を落とす。水を切った後、ラベルとともに新聞紙に標本を挟んだ。標本が乾けば、新たな台紙に貼り付けて完成となる。

実習に先立ち、県立博物館の鈴木まほろ主任専門学芸員は「水にぬれた資料を扱う際は、ゴム手袋と防塵(ぼうじん)マスクを着用してほしい」と指導。必要に応じて使い捨て白衣やゴーグルを使用するようアドバイスした。泥をかぶった資料には、普段は触れることのないカビの胞子や破傷風菌などの細菌が付着していることもあり、担当者への感染を予防するためだ。

台風19号で役立つ

鈴木さんによると、東日本大震災では、自治体が所蔵する物だけでなく個人所有も含め、推定11万点以上の押し葉標本が津波の被害に遭ったとみられている。

同博物館は震災後、全壊した陸前高田市立博物館の押し葉標本約1万5千点を保管。全国の学芸員に標本の洗浄や乾燥作業への支援を呼びかけたところ、29施設が協力した。

各施設に届けられた標本は、職員やボランティアによって処理が行われた後、同博物館に返送され、同市に戻る日を待っている。

会員限定記事会員サービス詳細