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東洋大、4月に女性学長誕生 多様性リードする伝統

【学ナビ】東洋大、4月に女性学長誕生 多様性リードする伝統
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 ■矢口氏「後に続く女性の一歩に」

 学生数約3万2000人(大学院含む)と全国約800の大学の中でトップ10に入る規模を誇る総合大学・東洋大(東京都文京区)で、4月から同大で2人目となる女性の学長が誕生する。文学部の矢口悦子教授で、「緊張はあるが、女性として学長となることについて3つの追い風を感じている」という。大学の女性学長がまだまだ少ない中、「自分がなることで、多くの女性に続いてもらえる一歩になればうれしい」と語る矢口氏に、抱負を聞いた。(山本雅人)

 ◆「自然」ととらえる風土

 130年以上の歴史を持つ東洋大では、平成12~15年に神田道子氏が私立の総合大学で初の女性学長となり、その後、現在の竹村牧男学長まで男性が2人続いた。他校では法政大で田中優子氏が26年から東京六大学初の女性総長(理事長兼学長)に就任しているが、全国的に女性の学長はまだまだ少ない。

 今年度の学校基本調査によると、4年制大学の女性学長は、国立が86校中4人、公立93校中19人、私立607校中72人。少ないながらも国立に比べ公立と私立の女性比率が少しだけ高いのは、公立には看護学部を主体とする大学が多いこと、私立には女子大が一定割合含まれることなどが理由とされる。

 そんな中、学長となる矢口氏が強調するのが、東洋大の特徴的な校風。「約100年前、専門学校令による大学で史上初めて女子の入学を許可し、神田元学長の例からも、女性が学長になることに違和感がない」と語る。その「男性でも女性でも学長として仕事を全うしてくれればそれでいい」との空気こそが「1つ目の追い風」だ。

 2つ目の追い風は、女性学長のもとで仕事をしてみたいという男性教職員が意外に多いことだという。学長に選出される前に何人もの男性から声をかけられ、「学内に新しい風を起こしてほしい」と言われ、「教職員の男女比率を考えれば、執行部にもっと女性がいていい」とも言われたという。

 こうした男性教職員の声に「何かが変わるのではという期待が込められている。私を実験台にしてもらい、メリットがあればそれを良き伝統にし、デメリットが出れば後に続く女性のためにも改善課題としてほしい」と話す。

 ◆「働きにくさ」に配慮

 3つ目は、女性教職員の中に、何となく働きにくいと感じている人もおり、それを改善してほしいとの思いを感じることだという。働きにくさとは「組織のさまざまな文化が、例えば出産といったライフイベントを考慮して形成されていない」としたうえで「その中で自分の要求を出すことについて、わがままといわれるのを恐れて控えてしまう」と説明する。

 その改善には、「今、話題となっている男性の育休の取得推進なども一つの方策」と述べ、働きやすいようさまざまな配慮をしていく意向を示した。

 「男性が多い中で対等にものを言い、行動する経験を積んだ」という文学部長時代には、職員に比べ教員優位の大学が多い中、「職員の意見もよく聞いて取り入れ、教員、職員の両者一体となって学生を支えられるよう心を砕いた」という矢口氏。学長に就任すると法人の理事も兼務し経営戦略や予算を決める理事会の一員となる。「よりよい大学となるために教職員が仕事をしやすいよう、いろいろ提案などもしていきたい」と語った。

 そんな矢口氏に期待感を示しているのが元文相で、労働省婦人局長時代に男女雇用機会均等法の法案作成の責任者も務めた赤松良子氏だ。

 赤松氏は「研究、教育の面での実績だけでなく、学部長として組織運営の経験を積んでおり、素晴らしい学長になると期待している」と話す。そのうえで、「いい助言者を持ち、体調管理に気を付けて、がんばってほしい」とエールを送る。

【プロフィル】矢口悦子

 やぐち・えつこ 秋田県横手市出身。お茶の水女子大学卒。博士(人文科学)。専門は社会教育学、生涯学習論。平成15年から東洋大文学部教授(現職)。25年から2年間、社会貢献センター長、27年から昨年3月まで4年間、文学部長を務めた。

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