国際情勢分析

「海の安全」どう守る 日本が問われる自助努力の覚悟

今月2日、護衛艦「たかなみ」が神奈川県の海自横須賀基地を出港した。日本の石油輸入の9割近くを依存する中東海域の安全を守るため、P3C哨戒機部隊とともに情報収集の任務に就く。テレビニュースは見送りの列の中で涙ぐむ若い女性の姿を写していた。乗艦する約200人の中に大切な人がいるのだろう。『この世界の片隅に』の主人公すずが任地に赴く兄や幼なじみに抱く感情は昔の話ではない。

自衛官やその家族に対してはもっと敬意が払われてよい。以前、ある退役空将が「自衛官の子息が、同級生から『人殺しの子ども』とののしられたりすることが珍しくない」と嘆くのを聞いたことがある。

記者(平田)が現在、出張中の米国では、退役を含め軍人は丁重に扱われる。個人の心の持ちようとしてだけでなく、美術館や博物館といった施設の料金が割り引かれるなど社会として敬意を払う。

日本でも東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨など災害救助を機に自衛隊が国民に身近な存在となり、先述のような「いわれのない中傷は減っている」(陸将補)と聞く。

そして今後は、より自衛隊に敬意を払う機会が増えるかもしれない。皮肉にも日本を取り巻く環境が厳しさを増し、自衛隊の活動の幅が広がる可能性があるためだ。既存の国際秩序に満足しない中国やロシア、北朝鮮が近隣にあるだけではない。自由と民主主義という価値観が同じはずの韓国が権威主義国家の中国や北朝鮮になびき、同盟国の米国も自らの利益を「第一」に力の配分を再考している。

昨年、米国はエネルギーの純輸出国に転じた。トランプ大統領の「中東地域の原油は必要ない」という発言と、タンカー危機をきっかけとして中東のイランに近い海域で自国船保護の努力を各国に求める動きは無関係ではないだろう。

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