長男、堀越勸玄(かんげん)君(6)は6月の興行で八代目市川新之助(しんのすけ)を名乗り、「外郎売(ういろううり)」で初舞台を踏む。昨年7月に同じ演目を海老蔵と共演した際は貴甘坊(きかんぼう)を演じたが、今回は主人公の外郎売(実は曽我五郎)を勤める。
海老蔵は「伝統文化をレガシーとして残していくのも一つのテーマ。倅(せがれ)には外郎売を一人でやってもらう」とし、「(山場に至るまでの芝居を)今回から彼には勉強してもらいたい。お客さまも一緒に彼の成長を見守っていただきたい」と親心を見せる。7歳で挑戦することになった勸玄君は「結構難しそうだなと思います」と話した。
「市川團十郎」は、江戸時代から続く歌舞伎の大名跡。初代團十郎が豪快な演技様式「荒事(あらごと)」を創始するなど、團十郎家は江戸歌舞伎の軸となってきた。千葉・成田山新勝寺と縁が深く、屋号は「成田屋」。
襲名披露興行は歌舞伎座での上演後、11月に福岡・博多座、令和3年2月に大阪松竹座、4月に名古屋・御園座、11月に京都・南座で行われるほか、各地の巡業も予定されている。
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市川團十郎白猿 白猿とは五代目團十郎が晩年に俳名として用いたもので、のちに芸名としても使用した。五代目は父や先祖には及ばないと、二代目と四代目が使った俳名「栢莚(はくえん)」に「白猿」という字を当てた。團十郎という名跡に白猿を付けるのは十三代目が初めて。