批判呼ぶテドロス事務局長の「中国擁護」 背景にWHOと中国の蜜月の仲

■中国に侵食されるWHO

 テドロス氏が中国を忖度(そんたく)している可能性が指摘されたのは、本人が、中国から巨額投資を受けるエチオピアの元保健相だったからだ。

 しかし、WHOの事務局長が中国寄りであることは、テドロス氏に始まったことではない。長年にわたり、WHOの重要ポストには、中国の息がかかった人材が抜擢(ばってき)されてきた。

 テドロス氏の前任で香港出身のマーガレット・チャン氏は2月2日、中国メディアの取材で、「中国が(新型肺炎の)予防策を取り、発生を封じ込めたことを称賛する。そして、もちろんこれは世界の意見だ」と答えた。チャン氏は2006年11月の事務局長選で、中国の総力を挙げた集票活動の支援を受けて当選したとされる。

 また中国は、豊富な資金力でもWHOへの影響力を強めている。WHOが属する国連への分担金比率で中国は米国に次いで2番目と大きい。

 ウォールストリート・ジャーナルは、習氏が「海外における中国の役割を拡大してきた」として、世界における影響力拡大を中国が進めていると分析。「中国との間で適切な均衡を保つことは、民主的な世界の各国政府、企業その他機関にとって困難な課題であることが明らかになっている」と警鐘を鳴らしている。

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